「リカレント教育」が日本でブームになっています。リカレント(Recurrent)とは、英語で「回帰」「再発」「循環」という意味で、「リカレント教育」とは、社会人として仕事を始めた後にビジネススキルアップのためにビジネススクールなどで学び直し、生涯に渡って学習を続ける教育システムを指します。
2017年11月の「人生100年時代構想会議」で安倍総理が「リカレント教育」の拡充と財源の投入を宣言したことから、2018年は「リカレント教育元年」とも言われました。
では、なぜいまリカレント教育なのでしょうか?
●会社に依存しない生き方
政府の働き方改革で日本の会社員の働き方が変わってきています。昨年1月より会社員の副業解禁を皮切りに、今年4月より大企業を対象として時間外労働の上限が月45時間、年360時間までと規制されました。2020年4月からは中小企業も規制の対象となります。これは家族により重きを置くライフスタイルへの改善に加え、会社員に対して「一つの会社に依存しないで、多様なスキルを身に付けて多様な働き方をしなさい。」という政府からのメッセージだと思います。
ひと昔前のように、「社員は家族」「会社は運命共同体」という考えは薄れつつあります。人材の流動も活発化し、会社員個人は会社の看板ではなく個人の看板を背負って会社を渡り歩いていくという時代になってきています。
●大学卒業までの知識では勝負できない
世界中で大ヒットしている書籍「ライフシフト」の著者であるリンダ・グラットン教授(ロンドンビジネススクール)は、日本政府の「人生100年時代構想会議」において、人生100年時代ではこれまでは「教育⇒仕事⇒引退」という3つの人生のステージであったが、これからは状況に応じて個々のタイミングで3つのステージを何度も移動するようになると語りました。
(参考:文部科学省ウェブサイトhttp://www.mext.go.jp/b_menu/activity/detail/2018/20180419_2.htm)
これは「教育は大学卒業で終わり」という今までの常識を覆す考え方です。従来は大学卒業までの約20年間で習得したスキルと知識を活かして残りの40年間会社に貢献しつづけることが可能でした。人生100年時代にはそのような生き方が通用しません。コンピューターのように常に自分自身もアップデートしつづけなければ社会に貢献できるスキルや知識を維持することができないのです。一流大学を出て一流企業に就職したから一生安泰なんて考えて自分自身への教育を怠っているとキャリアの途中で路頭に迷ってしまう時代です。
●MBA取得という選択肢
このように長期間に渡り個人の実力で勝負できる人材になるための選択肢のひとつがリカレント教育でのMBA取得です。
その理由はたった一つ。MBAは「知識を詰め込む教育」ではないからです。
MBAで習得できるのは、
1)現状を分析し、
2)その結果を踏まえて組織として何をするべきか判断し、
3)それを実行するためのチームを作り、
4)組織として結果を出すリーダーシップを発揮するスキル
です。
変化の激しい現代ビジネス社会だからこそ、よりこのようなスキルは重要になります。このようなスキルがあれば、例えば今のようにソーシャル・ネットワーキング・サービスやシェアリングエコノミーが主流でなかった10年前にMBAを取得した人であっても、今の時代をどう分析し、組織として何をするべきかを提案し実行するリーダーシップを発揮できるはずです。
このような業界や時代に関係なく通用するスキルは、MBAで身に付けることができます。リカレント教育として何かを学ぶのであれば、MBAを選択肢のひとつとして考えてみてはどうでしょうか。