日本は「飛び級」を積極的に採用するべきか?

日本の教育制度では、年齢に関係なく飛び級で進学するケースはほとんどありませんが、他の先進国は一般的に導入されています。日本も諸外国のように飛び級制度をもっと積極的に採用するべきなのでしょうか?

私の意見としては、日本はもっと積極的に飛び級制度を採用していくべきだと思います。

私は高校から大学院までで、日本、アメリカ、オーストラリアの教育を受けてきました。私の経験からざっくり言ってしまえば、日本の教育ではクラスで一番できない生徒に合わせて授業が進みます。落ちこぼれを出さずにクラス全員で学年相応の一定水準をクリアしましょう、というスタンスです。一方で、欧米では一番できる生徒に合わせて授業が進みます。年齢に関係なくできる生徒はどんどん伸ばそう、というスタンスです。

優秀過ぎる生徒も落ちこぼれも出さず、生徒に年齢相応の結果を求めているのが今の日本の教育現場です。しかしながら、同じ年齢の生徒は同じレベルの教育を受けなければならない理由はどこにあるのでしょうか?突出した生徒を押さえつけ他の生徒のレベルに合わせることが、将来の日本にどんなメリットがあるのでしょうか?

教育社会学者の舞田敏彦氏は、「飛び級を許さない日本の悪しき年齢主義」の記事内で、13~15歳の生徒を対象にした興味深い内閣府発表の調査結果を紹介しています。これは在籍学校の内訳を国別に比較調査したもので、調査結果よると15歳で大学に進学している日本の生徒はほぼ0%であることが分かります。

“(13~15歳の生徒の中で)日本ではほぼ100%が中学か高校だが、韓国では7.8%(13人に1人)、アメリカでは4.1%(24人に1人)が大学か大学院に籍を置いている。優れた才能を持つ者は、年齢に関係なく大学に入れる「飛び級」の制度が普及している。”

(出典:「飛び級を許さない日本の悪しき年齢主義」https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/11/post-8920.php)

また、同記事によると日本は「年齢主義」であって落ちこぼれに対する配慮があることが分かります。一方で諸外国では全く考え方が逆の「課程主義」です。

“日本では、義務教育段階で落第させるのは「可哀想」という思いが強くあり、年齢を重ねたら自動的に進級させる「年齢主義」が採られている。一方で、フランスなどの諸外国では、課程の内容を習得しないまま進級させることこそ「可哀想」とみなされる(課程主義)。”
(出典:「飛び級を許さない日本の悪しき年齢主義」https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2017/11/post-8920.php)

文部科学省のホームページによれば、日本にも一応飛び級制度があるようです。しかし、大学への飛び級は高校に2年以上在籍が必要だったりと一定の制限があり、アメリカや韓国のように15歳以下で大学に進学することは制度上不可能です。

“大学への飛び入学であれば、高等学校に2年以上在学した者(またはこれに準ずる者)で、大学が定める分野で特に優れた資質を有する者が、大学院への飛び入学であれば、大学に3年以上在学した者(またはこれに準ずる者)で、大学院が定める単位を優秀な成績で修得した者が飛び入学することができます。“

(出典:文部科学省のホームページhttp://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shikaku/07111318.htm)

日本はあくまでも優秀な人も落ちこぼれも出さず、みんな平等にしましょう、という意識とがとても強いように思います。

ビジネスの世界も一緒です。日本の役員報酬は諸外国に比べて大変低く、優秀な人もそうでない人もとにかく一定の水準内に収めようとする風潮があるように感じます。これにより貧富の格差が諸外国に比べて少なく制御できているのですが、優秀な人がより良い生活や報酬を求めてどんどん海外へ流出してしまいます。どういうわけか日本という国は「結果」をみんな平等にしようとします。日本では出る釘は打たれるのです。

将来の日本のためには、優秀な人材を数多く輩出していかなければなりません。そのためには、優秀な人材に魅力的な教育制度を提供し、その一つとして飛び級制度ももっと柔軟にしていくべきです。突出した才能は、よりその才能を伸ばすための教育改革が必須だと思います。

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